ニソの杜から日本の未来を考えるシンポジウム

大飯原発の立地する福井県の大島(ここはもと「大島半島」と呼ばれた)は、日本文明のルーツを探ろうとするとき、とてつもなく貴重な文化遺産を残した土地である。そこには「ニソの杜」という古風な形をした森が、多数点在している。森におおわれて点在する積石古墳によって、「ニソの杜」が大昔の墓所であり、また家の先祖を祀る神社でもあったことがわかる。柳田国男はこの「ニソの杜」こそが、日本の神社の原型であるという学説をたてた。それ以来、大島半島は日本民俗学の聖地の一つとなったのである。

 「ニソの杜」を含む環境と文化的伝統は、長いこと大島の人々の努力によって守られてきた。しかし、それは経済成長する日本の中で、この地域が経済的に取り残されていくことも意味していた。大島に橋をかけて本土と結ぶのと引き替えに、半島突端部に原子力発電所を建てる、という関西電力と日本政府の申し出があったとき、大島の人々は逡巡の末に、原子力発電所の建設を受け入れることにした。それから三十三年がたった。
 私たちはいまあらためて「ニソの杜」の価値について考え直してみなければならない、と考えるにいたった。「ニソの杜」は荒廃しかかっている。それを失えば、日本人は取り返しのつかない宝を永久になくしたことになる。いったい私たちにとってほんとうに価値のある生活とはなにか。経済的な豊かさにまさる「別の豊かさ」はじっさいにあるのではないだろうか。そのことを、大島と福井の人々と話しあいたいと思う。

中沢新一

開催概要

6月1日速報
高橋源一郎さん体調不良のため、残念ながら6/3に実施するシンポジウム出演中止となりました。
予定変更をお詫び申し上げます。

主催

主催:ニソの杜シンポジウム実行委員会・グリーンアクティブ
共催:明治大学野生の科学研究所
協力:緑の坊主

日時

2012年6月3日(日)

場所

小浜市文化会館
住所:福井県小浜市大手町7-32(地図
電話:0770-53-1111
JR小浜駅より徒歩10分

内容

ニソの杜見学+シンポジウム

09:30
ニソの杜見学
小浜駅に集合し、マイクロバスで移動してニソの杜を見学(金田久璋先生のご案内)
→大島の4箇所のニソの杜を見学。マイクロバスで一般から30-50名+関係者10-15名程度。
12:00
移動
12:30
休憩
13:30
シンポジウム『ニソの杜が日本に問いかけるもの(仮)』
司会:いとうせいこう
出演:中沢新一、高橋源一郎(6/1追記:高橋源一郎さん体調不良のため出演中止となりました)、金田久璋、松村忠祀(元福井市立美術館館長、三国湊大湊神社宮司)、中嶌哲演(小浜・明通寺) *敬称略
- 冒頭、中沢新一氏より開会挨拶(20分程度)
- 途中、金田久璋氏「ニソの杜と日本の森信仰について」の発表(20分程度)
- 途中、休憩あり
- USTREAMによるネット中継ありhttp://www.ustream.tv/channel/greenactive
16:00
終了・撤収

料金

ニソの杜見学ツアー(要予約・限定40名):1000円
定員に達しましたので参加申込み受付は終了いたしました。
- 御参加は40名限定となりますので、下記要領でご予約をお願いします(先着順)。
- 予約方法:お名前、連絡先としてメールアドレスか電話番号、人数、を記載の上、
 メール:greenactivejp@gmail.com、またはFAX:03-5501-9093までお送りください。
シンポジウム:500円
- ご予約は必要ありませんが、観覧多数の場合は立ち見になる場合もございます。
 あらかじめご了承ください

出演者

中沢新一1950年山梨県生。明治大学野生の科学研究所所長、グリーンアクティブ代表。宗教から哲学、芸術から科学まで、あらゆる領域にしなやかな思考を展開する思想家・人類学者。著書に『チベットのモーツァルト』(サントリー学芸賞)、『森のバロック』(読売文学賞)、『フィロソフィア・ヤポニカ』(伊藤整文学賞)、『カイエ・ソバージュ』全5巻(『対称性人類学』で小林秀雄賞)、『緑の資本論』、『精霊の王』、『アースダイバー』(桑原武夫学芸賞)、『芸術人類学』、『日本の大転換』など多数。

高橋源一郎1951年広島県生。作家、文芸評論家、明治学院大学教授。1981年、『さようなら、ギャングたち』で群像新人長編小説賞優秀作に選ばれデビュー。『優雅で感傷的な日本野球』(三島由紀夫賞受賞)、『日本文学盛衰史』(伊藤整文学賞受賞)など小説作品多数。またエッセイや評論の執筆や、競馬評論など活動は多岐にわたる。近著に『恋する原発』(2011年講談社)。
6/1追記:高橋源一郎さん体調不良のため出演中止となりました

いとうせいこう1961年東京都生。作家、クリエーター。88年に小説『ノーライフ・キング』でデビュー。小説、ルポ、エッセイなどの執筆活動のほか、舞台での芝居・ライブ活動、テレビへの出演など幅広い表現活動を行なう。著書に、『ボタニカル・ライフ』(講談社エッセイ賞)、みうらじゅんと新たな仏像の鑑賞を提案した『見仏記』シリーズ(角川書店)など。音楽家としても、日本のヒップホップの先駆者として今も活動中。

金田久璋1943年福井県生。民俗学者・詩人。若くして民俗学者の谷川健一氏に師事して民俗学を学び、。著書に『森の神々と民俗』(白水社)、『稲魂と富の起源』(白水社)、『あどうがたり』(福井新聞社)など。敦賀短期大学非常勤講師。日本民俗学会評議員、福井民俗の会会長を歴任、現在は若狭路文化研究会会長。

中嶌哲演1942年福井県生。小浜市若狭明通寺住職。東京芸術大中退、高野山大学仏教学科卒。学生時代、日本宗教者平和協議会にかかわり広島の被爆僧から「自分の足元で被爆者を探しなさい。」と言われたのをきっかけに、若狭で脱原発運動続ける仏教者。著書に『原発銀座若狭から』(光雲社)、『いのちか原発か』(小出裕章氏との共著、風媒社)など。

松村忠祀1936年福井県生。福井県坂井市三国町の海に浮かび、いまなお原生林の残る雄島を代々守っている大湊神社宮司。福井県立美術館学芸員、敦賀短期大学非常勤講師、福井市立美術館館長などを歴任。芸術への造詣も深い。